サラリーマンであることには変わらない
まあ、これはそうなんですね、はい。
会社に雇われて、給料をもらって、会社員として働く。
ただ、その中で、英語というスキルを武器に働いている。
まあこれは、商社に限らずですけどね。どんな種類の会社の海外駐在員だってそうだし、航空業界、外資系も当たり前。海外支社とか完全な海外勤務とかになれば、英語が当たり前+αでもっと色んなスキルが要求されます。
商社マン:転職が容易、つぶしが効きやすい
そういう意味では、とりあえず英語が出来れば、商社業は勤まる部分はあると思います。
あと、各業界の専門知識は、それぞれ各分野によって異なるわけですが、商社という輸出入業という点、また英語を使えるという点、この2つを兼ね備えていれば、業界や商材が違っても、転職や異動が比較的容易なわけです。貿易の基本や、営業ノウハウ、海外とのやり取りの方法の基本や抑えている訳なので、若し会社が倒産したり転職をせまられたりしても、比較的、他の業界に比べて転職が行いやすいと思います。業界が同じであれば、尚更やりやすいですね。
仕事のストレスや負荷は、日本・海外関係ない(ただ海外の良さもある)
はい、これは紛れもない事実であり、避けては通れませんね。結局、社内や取引先とのやり取りが上手く行かないことも多いし、トラブルもしょっちゅう起こります。上司や部下とのやり取りにも神経を使いますし、これはどこの会社も一緒ですね。海外に関係する仕事であっても、それは変わらないです。シンガポールに以前勤めていた友人も、全く同じことを言っていました。
また、海外のお客さんや取引先とのやり取りでは、文化や慣習の違い、ビジネススタイルの違いによって、コミュニケーションを取ること自体が難しかったり、日本の常識が通じなかったりすることが多いです、特に最初は。次第に慣れていくんですけどね、それまでが大変で、苦労しました。
ただ逆に、日本の大企業特有の面倒臭さが無かったりもするので、案外やりやすいという側面もあります。別に丁寧語や言葉遣いに気を使いすぎる必要は日本語ほどは無いし、変に媚びへつらったり、顔色を伺いすぎる必要も無いわけです。国や人にもちろんよりますが、割とドライな関係・ドライな感じのやり取りでも、それなりに通用するものです。日本人とのやり取りの方が、面倒臭いと感じることも、少なくないです。
日本語以上に、自分の英語が思った通りに伝わらない
海外のお客さんだと、英語がそのまま伝わらないことも多いです。自分の英語が、自分が意図した通りに100%受け取られることは、まず無いと考えていいです。だから、言い方を変えて何回も言う必要も時にはあるし、電話・メール・SMS・チャットなど、色んな媒体で言い方を変えて伝えることもあります。
日本語もそうですが、英語はそれ以上に、「自分の意図した通りに、相手に伝わらない」です。相手と自分の英語力の差があると、それが顕著ですし、また良く使う英単語や言い回しも、国によって微妙に違います。意味は伝わるんだけど、一癖ある、というか。向こうにも、自分の日本人英語は同様に、癖があると思われていると思います。
だから、英語で自分が発言した言葉、書いた文章、それらが、自分が伝えたい通りの内容で100%確実に伝えることのハードルが高いわけです。だから、例を挙げて説明したり、言い方を変えて別の表現をしたりしないといけない。少なくとも、海外との関わって働く、商社や外資系で働くのであれば、これらは必須スキルですね。
英語が使える仕事というのは、それなりに重宝されるが、商社では当たり前。
英語が使われない場面や、海外と全く接点がない環境であれば、相当重宝されると思いますが、英語を使えるのが当たり前の職場や環境であれば、それはごく当たり前のことです。その会社がどんな業界か、またどんな職種なのか、日本か海外なのか、色々条件によって異なりますが、英語が話せる・使えるが最低ライン・前提条件ということが多いです。
なので、英語を使えることが特別視されません。英語が話せるからと言って、その職場・環境で有利になるわけではありません。もちろん、帰国子女と英語が話せる純ジャパと比較すると、どうしても使える英語の幅や表現・正確さ・早さ・細かなニュアンスの表現力などで差は出てきますが、ビジネスの世界においては、正直それで何か大きく結果や実績が変わるようなことはほとんどありません。むしろ、仕事の段取り力・周りを巻き込む力・業界経験・知識の深さ・人間力・交渉力・コミュニケーション力、そういった仕事において普遍的に要求されるスキルが差を生みます。英語は、伝達手段でしかないのです。特に、周りが英語を話せる人間ばかりで、それが共通言語とされる場合においては。
商社の場合で言うと、アシスタントや事務職系であれば、そこまで高度な英語力は要求されません。英語でバリバリ商談・交渉するわけでもなく、基本的には定型文を用いたり、基本的な英語の読み書きが出来れば正直そこまで困りません。中学・高校とある程度英語をしっかり勉強してきたのであれば、そんなに苦労もしないでしょう。
営業職は別です。最前線に立って、取引先との直接交渉・打ち合わせ・調整などで、より多様な言い回し・表現・高い英語力が求められます。
英語を使える人間が少数派である環境では、やはり英語が使える人間が重宝される
逆に、英語が必要とされる環境において、自分しか英語が喋れない、若しくは英語を話せる人数が、その環境全体の人数に対して少数派である場合、英語が使える人は重宝されます。大事にされます。単純ですね、需要に対して、供給が少ないからです。特に、これから海外進出をしようとしている起業、海外との取引を模索している組織などでは、英語が使えるということは武器になるでしょう。そういう環境を探す、そういう環境・企業に意識的に飛び込んでみる。自分の英語が武器になりうる環境はどういう環境か考えてみると、開けてくる道もあるでしょう。
商社では、特に取引先に英語が使えない人がいる時、特に重要視されるでしょう。商社というのは、いわゆる卸売業・仲介業とも言えるので、仕入先と売り先の両方の間に立ちます。片方は英語が喋れない日本人で、もう片方が英語を話せる外国人である場合などが典型的です。例えば、仕入先は英語が分からない日本人で、売り先はシンガポール人、なんていう場合です。海外を担当している日本人は、ある程度英語はかじっているので、全く英語が分からない、ということは少ないですが、それでも込み入った話や、細かい話、突っ込んだ話などになってきた場合は、商社の出番です。直接そのまま伝えることもありますし、大意が変わらない程度に意訳したりして、間に入ってうまく通訳をします。
決まった定型文が増えてくる
ビジネスにおいては、話すべきトピック、伝えるべき事柄、何を依頼するか、など、前提条件に基づいて決まりきった文言や言葉が多くなります。日本語でも英語でも同じですね。日常会話では、トピックが多岐に渡り、トピックが変化しやすく、何を前提に話をしているかがブレやすいので、ビジネス英語よりも難しいとされています。(実際、私もそれには激しく同意します)
一方で、ビジネスでは基本的に、すごいおおざっぱに分解すると、「依頼をする・依頼を受けて対応する・何かを伝える・何かを質問する」という感じになると思います。恋愛や友人関係・親子関係などにおける細かな感情表現や、曖昧なニュアンス表現などは、そこまで頻繁に求められることは多くないです。(もちろん、それが必要な場面も出てきます、特に込み入った交渉などの場面においては)なので、基本的にさきほどお伝えした「依頼をする・依頼を受けて対応する・何かを伝える・何かを質問する」の基本文を覚えておけば、あとは業界の固有名詞や業界用語を英語訳したものを使えば、ほとんどの場面で対応でき、大きく困るようなことは無いでしょう。
例えば、次のような定型文で、基本英語でのビジネスコミュニケーションは取れます。
依頼をする
Would you please (let us have the certificate by day after tomorrow) ?
「〜して頂けませんか」
It would be grateful if you could (ship the products within this month).
「〜して頂けますと幸甚です」
依頼を受けて対応する
We are planning to (complete arranging the said documents hopefully within this week).
「(弊社は、私達は)〜する予定です」
Please let us (check with our supplier and come back to you in a while).
「〜します(させて下さい)」
何かを伝える
Please be noted that (the production lead time for the goods requires 3-4 month).
「〜ということにご留意ください」
We are pleased to inform you that (our several clients are interested in your new lineups).
「〜ということをご連絡いたします(〜です)」
何かを質問する
May we know (when we can expect to complete shipping the goods)?
「〜を教えて頂けませんか」
We are wondering (at what price you are receiving offers from others).
「〜が気になっています」 → 〜を教えて下さい
あくまで例文の一例ではありますが、基本的な受け答えの文としては使いやすいものが多いと思います。()部分の内容を変えれば、かなり応用が効きます。もちろん、これらの文だけ覚えても、これらの文だけ使えるようになっても駄目ですよ!ビジネス英語は、定型文である程度のコミュニケーションは取れるという事をお分かり頂けたかと思います。
つたない英語でも、伝わらないことはないが、微妙なニュアンスや細かい指示、複雑な説明になるとやはり限界がある
中学英語でも伝わる、は本当です、そんなに難しい表現など使う必要は、ことビジネスの場面においてはそんなに多くはありません。文法がめちゃくちゃでも、単語と動詞、数字、それらの組み合わせだけで伝わらないこともありません。特に、書き文章であればなおさらですね。業界知識と専門用語だけで突破出来てしまう場面もあるくらいです。
ですが、先ほどもお伝えした通りですが、微妙なニュアンスや細かい指示、込み入った複雑な説明になってくると、急に要求される英語力が高くなります。普段、自分の知っているトピックや、簡単な受け答えは出来たのに、急に高度な表現や、細かな感情表現、哲学みたいな話になってくると、急に話についていけなくなった、なんてことありませんか?私は今までたくさんそんな場面に出会ってきました。話が通じなくなる世界、壁のようなものがあるのです。一対一の場面であれば、分からないことや分かりにくいことは普通に質問すればいいですが、3人以上、または大人数で会話していたら、毎回いちいち質問する訳にもいきません。
また、そもそも話の前提やトピックに関する情報を知らないと、英語力云々の前に話にならないこともあります。まあこれは、英語に限った話ではないですが、英語で完全に自分の専門分野外のトピック・知らない話題の話になると、もう本当についていけません。
あと、まあ、つたない英語だと、舐められる可能性があり、すごく幼稚に聞こえます。場合によっては、会社や担当の信頼性にも関わってきます。少なくとも、任される仕事のレベルは一定止まりになり、自分の成長も止まるでしょう。自分が若し上司だったら、つたない英語、幼稚な英語を使う部下を、自分の元に置きたいとは思いませんよね?
英語力も大事だが、それ以前に日本語としてどう考えるかが重要。
もうねー、これは本当にそうなんですよ。英語以前に、そもそもあなた日本語の使い方からしておかしいでしょ!って突っ込みたくなるひと、少なくないです。
自分の主張・説明は筋が通っているか?
ロジカルであるか?
はっきりとした理由付けがされているか?
支離滅裂な言い方になっていないか?
主語が誰かはっきりしているか?
曖昧すぎる表現になっていないか?
そもそも何が言いたいのか?
何を相手に要求しているのか?
英語にする前に、まず日本語で考えて、日本語でおかしくないかをしっかり疑ってみましょう。それで何かおかしいとか、不十分だったり、説明・主張がはっきりしていない場合、まず日本語から修正した方がいいです。
英語力+業界知識(業界経験)+仕事力(人間力)
前述の部分とも被りますが、英語が使える「だけ」では、本当に仕事では役に立ちません。英語は、それが必要とされる環境におけるチケットと言っても、大げさではないかもしれません。(若しくは、今居る環境や、今従事している仕事の幅を広げてくれるもの、という捉え方もできるでしょう)やはり、英語以外のスキル・そもそもの人間力の世界になってきます。地頭、賢さ、組織でうまく立ち回る力、世渡り力、要領の良さ、コミュニケーション力。総合力の世界です。
所詮、英語は意思疎通のための道具なのです。ただ、その道具を必要とされる環境は今後もたくさん増えてきますし、そのような環境は、そうでない環境と比べて、あなたの収入や実入りにも大きく影響してくるでしょう。英語を使える、というだけで、英語が必要とされる環境においては、英語が使えない人間はそもそもその環境へのエントリーすら許してもらえません。英語が使えるというだけで、その他英語が使えない大多数の人々に対して、それだけで有利に立てるのです。