ビジネス英語

ビジネス英語の本質

 

ビジネス英語は意外と簡単、という話をしたいと思う。
今、自分自身が商社マンとして海外営業しているが、その中で感じている事だ。

正直、自分も最初の頃は、英語でビジネスなんて本当に出来るのか、めちゃめちゃハードルが高そうだな、ついていけるんだろうか。。最初の頃は不安と心配ばかりだったが、思っていたほど、ハードルは高くない、むしろ、今この記事を読んでいるあなたにも、積極的に勧めたい。また、ビジネス英語が日常会話とは違う、という事についても説明しておきたい。


ビジネス英語:話している内容・トピックが決まっている、事前にわかっている事が多い

ビジネスというのは、だいたい交渉であったり、納期調整、モノの売買、プロジェクトの計画・推進、在庫管理、など、だいたい何か話すトピック・対象が事前に決まっている事がほとんどで、正確に英語がわからなくても、ある程度話しているトピックから、相手が何を言っているのか、何を要求しているのか、自分は次に何を答えたらいいのか、がある程度予測できる。

例えば、資材や原料の値段交渉の場面であれば、基本的に売り手はなるべく高く売ろうとし、買い手はなるべく安く買いたいので、お互いその目的を達成する為の発言がメインとなる。また、それぞれ、高く売らなければいけない理由・事情・背景などを、基本的には説明しようとする。市況が上がっている理由、製品製造の為の原価が高騰しているだとか、今需要期で生産が逼迫している、とか。買い手は、逆に少しでも安く買える理由を並べ立てようとする。売り手の競合他社はこんなに安い、だとか、全く新規の顧客でないのだから、今までの長年の関係性を重視して欲しい、だから価格も考慮して欲しい。。。などなど。

まあ、多少話が脱線したりすることもあるが、基本的に話の中心が大きく逸れることはあまり無く、話があっちゃこっちゃ飛ぶ普段の会話や、トピックが明確に決まっていない世間話なんかに比べると、会話が格段に理解しやすい。


交渉・要求・返答・反論・督促など、言い方がある程度パターン化されている

ビジネスの場では、上記の交渉の場にもあるように、基本的にはこちらの要求とその理由を主張し、それを相手に理解・納得してもらい、互いの利害を調整し、時には妥協し、相手に動いてもらうことが基本である。多少ずれなどはあるが、本質を突き詰めると、このような流れとポイントになると思う。なので、ある程度言い方が決まっている節があり、パターン化しやすいので、そこまで高度な英語が話せなくとも、大筋の意味合いは通じることが多い。(もちろん、複雑で細かな要望などを伝える為には、時には豊かな英語表現が必要になることもある。)例えば、交渉における会話であれば、こんな感じだ。

交渉:
It would be grateful if you would accept our offer.
「我々のオファーを承諾して頂けると有り難いです。」
(→動詞acceptを他の動詞に変化させれば、応用が効かせられる)

要求:
We would like to ask you to consider reducing your offer by US$100.
Would you kindly consider reducing your price by US$100?
「あなたのオファー価格から、100ドルの値引きを検討頂けないでしょうか?」
(→動詞reducingを他に動詞に変えれば、基本的にだいたいの要求には対応できる)

返答:
Yes, we are pleased to accept your revised offer.
「はい、喜んであなたの訂正オファーを承諾いたします。」
Regret to say but we cannot accept your offer, as ~ (値段を受けれない理由を述べる)
「申し訳ないがあなたのオファーは承諾できない、なぜなら ~ (理由)」

反論:
We got your point, but we assume that ~.
That could be true, but our understanding is ~ .
「あなたの言っていることは理解できますが、でも我々はこう考えています ~ 」

督促:
Kindly let us have your reply by today urgently.
「本日中に急ぎお返事をください」
(→todayをtomorrowとかに変えて、返事が欲しい期日を指定できる)

上記は交渉の場面で自分でもよく使う英文で、ごく一例だ。若しかしたら、ネイティブから言わせたらそれお前間違っている、と突っ込まれる可能性もあるが、自分が今アジア諸国で海外営業している分には、大きな問題を感じたことはない。もちろん、時に表現や言い方を変化させたり、ニュアンスによっては言い方を変えたり、前後に枕言葉を付け足したりすることもある。だけど、上記のような基本形をパターン化できていれば、あとは場面やトピックに応じて、応用は効かせやすいことが、わかると思う。


英語力 < 業界知識・業界経験・交渉力

ビジネス英語において、英語力は当然要求されるが、それ以上にその分野や業界の専門用語・常識・慣習・暗黙の了解、みたいなものを知っているかどうかの方が遥かに重要である。というのは、極端な話、単に英語力があるだけで、業界の知識・慣習・常識・背景・仕事の流れ・交渉相手の特徴などを知っておかないと、単に通訳と一緒みたいなものだからだ。そういう意味では、ビジネス英語は英語力ではなく、英語力含めた、総合的な知識含め、どれだけあなたが関わるビジネスに精通しているかの方が重要で、大きなウエイトを占めているといっていい。

実際、自分の体験として、これは痛感したことが何度かある。ある海外顧客の技術指導に、自社の技術者と共に約一ヶ月半、海外出張したことがあるのだが、その技術者は英語がほとんど話せないような人であったので、英語が話せる自分が、通訳も兼ね、全体のコーディネーターとして派遣された。当然、相手取引先の技術者との話し合いに毎回なることが多い。自社と相手の技術者同士が技術の細かい議論になった際に、その二人では会話が進んでいるのだが、専門用語や専門知識を軸に話を展開していた。だから、英語を話せるはずの自分だけが、知識不足の為に、全然話についていけない場面があった。

単に、英語力「だけ」ではどうにもならない場面がある、という事をその時思い知った。


英語力 < 人間力

また、身振り手振り・熱意・やる気・情熱・態度・親切さ・人柄など、言語以外の情報・特徴が非常に重要視される。英語が非常にデタラメで、何を言いたいのかわかっているんだけど、何か正しい英語ではない、特に技術系の人を中心に、こういう人は多い。でも、上記のような業界知識や経験に長けている人は、専門用語の羅列とかで会話できるケースが少なくないし、また熱意や情熱がすごい溢れていて、とにかくやる気がすごい、と相手に伝えるのも非常に重要だったりする。

自社のある社員を例に挙げると、その人の英語力もそんなに高くはないのだが、毎回すごい熱量で相手に話す。文法もめちゃくちゃで、発音もカタコト英語で、とても正確な英語表現ではないことも多い、ただ、とにかくこの人は、やる気がすごい、と相手に思わせるのが上手く、相手の印象には強烈に残る。だから、仕事を勝ち取ってこれる。

英語は単なるツールでしかない、という事を痛感した。ビジネス英語は、より道具としての意味合いが強い。だから、自分そのもの、若しくはビジネスそのものでの勝負になる。


ビジネス英語と、普段の一般会話英語とは表現が違う。

普段友人に使うような、カジュアルでフランクな英語表現は好まれず、ビジネスの場では不適切な事が多いので、ここは区別して使い分ける必要がある。
例えば、同じ誰々に何々して欲しい、というような表現方法でも、以下のように使い方を分ける必要がある。

A; I want to (wanna) (ビールが飲みたいなぁ)

B: I would like to drink beer (ビールを頂きたいです)

洋楽や海外ドラマに出てくるような、あるいはブロークン・イングリッシュはビジネス上では好まれない、ということ。意味が伝わらない訳ではないが、例えば上記Aのような表現では幼稚に見られることがあるし、相手によっては舐められる可能性があるので、注意が必要。

自分の後輩が実際そうだった。彼の英語は表現が砕けた表現で、ビジネス上で話す英語とはとても言えないものだった。たいがい意味は通じていたのだが、ある日「お前の英語はカジュアルすぎる、もっと丁寧に話したほうがいい」ということを言われていた。。多分、他の取引先の人も同じようなことは内心思っていたが、口に出して注意したりするほどの事ではないと、思っていたのかもしれない。。。

いずれにしても、砕けた英語表現では、ビジネスの場においては得をすることはないので、普段の一般会話表現とは使い分けるようにしてほしいと思う。まあ、というか、これは日本語でも同じですね。


英語ネイティブの人と関わる事は、場合にもよるが、そんなに多くない。

米国・英国・カナダ・オーストラリアなど、完全に英語ネイティブの人とビジネスをする機会は、人によっては多いかもしれないが、特に日本の一般的な海外と取引がある企業などは、どちらかというと中国・韓国・香港・台湾といった日本に比較的近いアジア諸国、またタイ・マレーシア・インドネシア・シンガポール・ベトナムと言った東南アジア、インドなどの西南アジア諸国とのやり取りの方が、どちらかと言うと多いかもしれない。

英語の非ネイティブももともと英語を第2言語として勉強してきた人がほとんどなので、ネイティブと話す時よりかは、幾分ハードルが下がるし、そんなに構える必要はないと思う。まあそれでも日本人のは話す英語と比べたら遥かに上手な英語を話すが。むしろ、非ネイティブの少し訛りのある英語発音に慣れる方が、最初は難しいかもしれない。

自分の場合は、もともと留学先はアメリカだったこともあり、はじめインド英語に慣れるのに非常に苦労した。巻き舌をするせいで聞き取りにくいし、結構話すスピードも早いからだ。逆に、インド英語に慣れている同僚は、アメリカ英語の聞き取りが非常に苦手だそうだ。。。


何気ない日常会話の方が遥かに難しい。

これは、はい、そうなんです。ビジネス英語は、さっき言った通り、話すトピックや前提条件・背景・議題など決まっている事が多く、推測も入れればたいていの事は理解出来る。だからある程度相手の言っている事がわかるし、単語だけでも会話出来ることが多い。でも、トピックも何も決まっていない、普段の何気ない会話や世間話の方が難しい。推測もしにくいし、本当に相手の言っていることが聞き取れないと理解できないし、話についていけない。状況や相手の表情、断片的な単語とかで類推できるかもしれないが、それは英語をきちんと使えているとは言えない。

だからこそ、最初は共通の話題から入っていった方がいいと思うし、自分が興味があるコミュニティに属して、その中で英語を少しづつ学んでいくのが良いと思う。

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